用語解説 か行
この用語解説集は、当協会の発行する医業経営情報誌「機関誌JAHMC(ジャーマック)」でこれまでに掲載された「用語解説」の記事をデータベース化したものです。
【注意】掲載内容については、発行当時の情報に基づいた内容となりますので、現在の状況と異なるものがありますことをご了承ください。
かかりつけ医(2013年12月号掲載)
これまで「かかりつけ医」の明確な定義はなく、患者の立場では「日頃からかかっている医師」という漠然としたもので、医師本人の立場では「自分の患者」を診る医師との想いが強かった。
日本医師会と四病院団体協議会は8月、「かかりつけ医」の養成、「かかりつけ医機能」の充実に努めることに合意し、文書にまとめた。それによると、「かかりつけ医」とは「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」とある。
この定義を理解し、「かかりつけ医機能」の向上に努めているのが「かかりつけ医」ということになり、病院の医師か、診療所の医師か、あるいはどの診療科かは問うものではない、としている(「医療提供体制のあり方」日本医師会・四病院団体協議会合同提言、2013年8月8日)。「かかりつけ医機能」として、提言は次の4点を示している。
●かかりつけ医は、日常行う診療においては、患者の生活背景を把握し、適切な診療および保健指導を行い、自己の専門性を超えて診療や指導を行えない場合には、地域の医師、医療機関等と協力して解決策を提供する。
●かかりつけ医は、自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師、医療機関等と必要な情報を共有し、お互いに協力して休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する。
●かかりつけ医は、日常行う診療のほかに、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行う。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるよう在宅医療を推進する。
●患者や家族に対して、医療に関する適切かつわかりやすい情報の提供を行う。
総合的な診療機能を有する医師としては「かかりつけ医」のほかに「総合医」「総合診療医」「プライマリ・ケア医」「家庭医」などの名称が使われている。提言では、この点について今後も引き続き議論し、国民がどのように受け止めているかを見極めつつ、あらためて整理する、と断っている。
患者・国民の目から見ると、すべての医師がかかりつけ医ということになりかねないので、その資格要件をより明確にする必要がある。とりわけ2017年度からの導入が決まっている「総合診療専門医」との関係がどうなるか、「かかりつけ医」のイメージをより一層明確にしていく努力が求められる。