用語解説 は行
この用語解説集は、当協会の発行する医業経営情報誌「機関誌JAHMC(ジャーマック)」でこれまでに掲載された「用語解説」の記事をデータベース化したものです。
【注意】掲載内容については、発行当時の情報に基づいた内容となりますので、現在の状況と異なるものがありますことをご了承ください。
ヒヤリ・ハット事例(2007年03月号掲載)
患者や医療従事者にとって好ましくない出来事を未然に防ぐか、起きても結果的に影響がないか、軽い手当てで済んだ事例を指す。インシデントとも呼ぶ。
厚生労働省が2001年(平成13年)10月から事例の収集・分析を開始した。当初は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(現・独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が事例収集をして厚労省に報告し、厚労省の研究班が集計・分析を行っていた。第1回から第10回までの事例収集はこの枠組みで行い、2004年(平成16年)度から(財)日本医療機能評価機構に引き継いだ。
報告の対象となる事例は以下の通りである。
①誤った医療行為等が、患者に実施される前に発見された事例。
②誤った医療行為等が実施されたが、結果として患者に影響を及ぼすに至らなかった事例。
③誤った医療行為が実施され、その結果、軽微な処置、治療を要した事例。
ヒヤリ・ハット事例は「全般コード化情報」と「記述情報」の2種類からなる。全般コード化情報は、収集期間中に発生した全ての事例を、発生場面や発生内容等に関する情報の報告様式に従って収集する。このコード化情報の収集は全国247(2006年9月30日現在)の定点医療機関の協力を得ている。
記述情報は全ての参加登録医療機関から収集し、次のa、bに該当する事例を対象としている。
a.収集期間(3ヵ月)毎に定められたテーマ(最近は4項目)に該当する事例
b.a)で定めたテーマに関わらず常時収集対象となる事例
・もしその行為が実施されていたら、あるいはその事象の発生に気付かなければ、患者が死亡もしくは重篤な状況に至ったと考えられる事例
・新規薬剤導入時などに発生した名称や形状に関連する事例、医療機器の誤操作など、薬剤・医療機器・医療用具等に由来する事例
・その他、医療機関内で安全管理担当者が十分に精査を行ったうえで、その事例の報告を行うことが医療安全の向上に貢献すると判断する事例
収集事例は、日本医療機能評価機構・医療事故防止センターで集計・分析し、結果は同機構のホームページで公表している。