用語解説 か行
この用語解説集は、当協会の発行する医業経営情報誌「機関誌JAHMC(ジャーマック)」でこれまでに掲載された「用語解説」の記事をデータベース化したものです。
【注意】掲載内容については、発行当時の情報に基づいた内容となりますので、現在の状況と異なるものがありますことをご了承ください。
介護難民(2006年12月号掲載)
療養病床に入院中の患者のうち、病状が安定しており、退院可能ではあるが、在宅受け入れ困難で、退院後の行き場のない患者を指す。
厚生労働省が今年4月の診療報酬改定で、医療療養病床を対象にADL区分と医療区分のマトリックスで分類した「慢性期入院医療基本料」を設定、医療必要度の低い「医療区分1」の患者が多い療養病床は老人保健施設やケアハウスなどに転換させる方針を打ち出したことから、この問題が生じた。
日本医師会が7月に実施した「療養病床の再編に関する緊急調査」によると、①医療区分1のうち「病状面から退院可能だが、自宅・施設の受入体制が整っていないため行き場のない患者では約4割(退院可能約6割、うち在宅受入困難7割)、②医学的管理・処置が必要であり、退院を迫ることで適切な治療が受けられなくなる可能性は約2割に達することが明らかになった。前者を「介護難民」と呼び、数で約4万人、後者を「医療難民」と呼び、実数2万人とした。
予想された結果とはいえ、ある意味ではショッキングなデータであり、国会の質疑でも取り上げられた。
こうした事態に対し、日本医師会では、「介護難民」に関しては、地域ケア体制が整備されるまで、医療療養病床を「介護受入待機病床」として介護保険の給付対象とすることを提案。「医療難民」に関しては、医療区分1の患者の10.5%で「胃瘻の管理」、8.8%で「経鼻経管栄養」が行われているとして、「このような患者は医療区分2として扱うべきだ」と指摘している。