用語解説 か行
この用語解説集は、当協会の発行する医業経営情報誌「機関誌JAHMC(ジャーマック)」でこれまでに掲載された「用語解説」の記事をデータベース化したものです。
【注意】掲載内容については、発行当時の情報に基づいた内容となりますので、現在の状況と異なるものがありますことをご了承ください。
後期高齢者医療制度(2008年07月号掲載)
2008年4月から後期高齢者医療制度が実施された。その診療報酬点数の1つとして新設されたのが「終末期相談支援料」で、200点。「医師や看護師が患者・家族と十分に相談し、患者の意思の下で終末期医療を行うとの理念が診療報酬に込められた」とされており、「国民の代表も加わった社会保障制度審議会で決まった」(西澤寛俊・全日本病院協会会長、中央社会保険医療協議会委員)。
ところが、いざ実施となってみると、この点数を問題視する声が各方面から出てきた。全国の保険医協会や民主党は廃止を求め、マスコミ報道には「医療削減」、「リビングウィルの押し付け」、「死の選択を迫るもの」といった論調が目立ち、「死ねと言うのか」といった極端な「読者の声」を伝えるものまであった。
こうした批判に抗し切れず、舛添厚生労働大臣や与党のプロジェクトチームは支援相談料をひとまず凍結、論議を中医協に委ねることにした。
問題は後期高齢者医療制度についての準備不足や説明不足にあるとされているが、末期相談支援を後期高齢者に限定する必要があるのか。末期医療のあり方について国民的合意はあるのか、末期相談支援料や看取り料といった(一部とはいえ)重ね重ねの患者負担をサービスを受ける側がどう受け止めるかなど、この際、もっと掘り下げた議論を、し尽くす必要があるだろう。