用語解説 さ行
この用語解説集は、当協会の発行する医業経営情報誌「機関誌JAHMC(ジャーマック)」でこれまでに掲載された「用語解説」の記事をデータベース化したものです。
【注意】掲載内容については、発行当時の情報に基づいた内容となりますので、現在の状況と異なるものがありますことをご了承ください。
社会保障・税一体改革成案(2011年11月号掲載)
高齢者人口がピークに達する2025年へ向けて、社会保障と税の一体改革の具体的方向を取りまとめたもの。本年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部が決定、7月1日に閣議に報告した。これを基に野党各党と協議し、本年度中に必要な法制上の措置を講じる、としている。
報告書は、本年3月11日に発生した東日本大震災にも触れ、社会保障・税一体改革について、復興対策との両立を図りつつ取り組むものとし、未来志向の見地から、「被災地を少子高齢化が進む日本の先進的モデルにしていく」と謳っている。
内容は、?.社会保障改革の全体像、?.社会保障費用の推計、?.社会保障・税一体改革の基本姿勢、?.税制全体の抜本改革、?.社会保障・税一体改革のスケジュール、?.デフレ脱却への取り組み、経済成長との好循環の実現?の6部構成。このうち「社会保障改革の全体像」については、改革の優先順位として、①子ども・子育て支援、若者雇用対策、②医療・介護等のサービス改革、③年金改革、④制度横断的課題としての「貧困・格差対策(重層的セーフティネット)」「低所得者対策」を掲げている。
医療・介護等についての主な改革項目としては、次のような点を挙げている。
○病院・病床機能の分化・強化と連携、地域間・診療科間の偏在の是正、予防対策の強化、在宅医療の充実等、地域包括ケアシステムの構築・ケアマネジメントの機能強化・居住系サービスの充実、施設のユニット化、重点化に伴うマンパワーの増強
○平均在院日数の減少、外来受診の適正化、ICT活用による重複受診・重複検査・過剰薬剤投与等の削減、介護予防・重度化予防
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、市町村国保の財政運営の都道府県単位化・財政基盤の強化
○1号保険料の低所得者保険料軽減強化
○介護納付金の総報酬割導入、重度化予防に効果のある給付への重点化
○高額療養費の見直しによる負担軽減と、その規模に応じた受診時定額負担等の併せた検討(病院・診療所の役割分担を踏まえた外来受診の適正化も検討)。ただし、受診時定額負担については低所得者に配慮。
○総合合算制度、低所得者対策・逆進性対策等の検討
○後発医薬品の更なる使用促進、医薬品の患者負担の見直し、国保組合の国庫補助の見直し
○高齢者医療制度の見直し(高齢世代・若年世代にとって公平で納得のいく負担の仕組み、支援金の総報酬割導入、自己負担割合の見直しなど)
財源については、「社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税収(国・地方)を主要財源として確保する」として、「まずは、2010年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかわる安定財源を確保する」と明記している。