用語解説 さ行
この用語解説集は、当協会の発行する医業経営情報誌「機関誌JAHMC(ジャーマック)」でこれまでに掲載された「用語解説」の記事をデータベース化したものです。
【注意】掲載内容については、発行当時の情報に基づいた内容となりますので、現在の状況と異なるものがありますことをご了承ください。
社会保障国民会議最終勧告(2009年05月号掲載)
内閣総理大臣の下に設置された社会保障国民会議が2008年11月4日にまとめた報告書。①最終報告の位置づけ、②これからの社会保障~中間報告が示す道筋~、③中間報告後の議論、④社会保障の機能強化へ向けて、⑤おわりに~国民会議からのメッセージ~、の5章(本文約15ページ)と30ページの附属資料、62ページの参考資料で構成されている。
最大の特色は、「医療・介護サービスのあるべき姿」を具体的に示して、2025年時点の医療・介護費を推計(シミュレーション)したことである。医療・介護体制については、次の諸点を前提にしている。
・急性期医療の充実強化、効率化(急性期医療の職員数を現在の一般病床の平均に比べ倍増、平均在院日数〈一般病床〉を現状の20.3日から10日へ)、病院病床の機能分化(現状投影のシナリオで一般病床133万床となるところ、急性期67万床、亜急性期等44万床、合わせて現状程度、約110万床で高齢化需要に対応)
・在宅医療・介護の充実(現状から約43万人/日増)
・マンパワーの充実確保(全体で現状の1.7~1.8倍に増加)
こうした前提の下に
・2025年の医療・介護費用は現状の41兆円(GDP比7.9%)を改革シナリオで91~94兆円程度(11.6~12%程度)に
・追加的に必要となる公的財源は、改革シナリオで+1.8~2.0%程度。これを消費税換算率でみると、改革シナリオで4%程度。
・途中年次(2015年)の時点でみれば、追加的に必要となる公的財源は、改革シナリオでGDP比+0.6~0.7%程度、消費税換算率では1%程度。
今回のシミュレーションの背景にある哲学は、「医療の機能分化を進めるとともに、急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入し、できるだけ入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現し、同時に在宅医療・在宅介護を大幅に充実させ、地域での包括ケアシステムを構築することにより、利用者・患者のQOL(生活の質)の向上を目指す」というものである。
国民会議からのメッセージとしては、「社会保障は国民自身のものである。国民各位に、自身の社会保障を守るため、機会をとらえて議論に参加していくことを願い、他方、行政には、国・地方を問わず、社会保障に国民の参加を可能とする場を設けていくことを提案」、報告の結びとしている。(INTERVIEW、DATA参照)