用語解説 や行
この用語解説集は、当協会の発行する医業経営情報誌「機関誌JAHMC(ジャーマック)」でこれまでに掲載された「用語解説」の記事をデータベース化したものです。
【注意】掲載内容については、発行当時の情報に基づいた内容となりますので、現在の状況と異なるものがありますことをご了承ください。
要介護認定(2009年05月号掲載)
介護サービス利用者の要介護度を判定する要介護認定の方法が一部変更され、4月1日から実施された。
要介護認定は通常、申請→認定調査(調査項目、特記事項)→一次判定(コンピュータ)+主治医意見書→二次判定(認定審査会)→要介護認定、の順で進められる。更新の際も同じ手順を踏む。
その際、①状態が変わらないのに認定が軽くなることがあり、認定にバラツキがあるのではないか、②要介護認定が最新のケアを踏まえた「介護の手間」をきちんと反映していないのではないか、といった問題が指摘されてきた。
こうした不満を解消するために、厚生労働省は研究事業モデル事業実施により、①調査項目の見直し、②調査項目の記載の変更、③コンピュータ判定によるデータの更新(2001年→2007年)、④審査会資料の変更、などを行った。その結果、調査項目は従来の82項から74項(従来82+追加6-除外14=74)に減少した。
追加したのは「独り言、独り笑い」「自分勝手に行動する」「話がまとまらない」「集団への不適応」「買い物」「簡単な調理」など認知症に関する6項目。除外したのは「拘縮(肘関節)」「拘縮(足関節)」「じょくそう」「飲水」など、主治医意見書でもすでに調査している項目、「火の不始末」「電話の利用」など、調査員からの事情聴で客観的な回答が難しいと判断された項目である。
従来方式と見直し後の方式による要介護度ごとの出現状況(同じ対象者3万人分析)は下表のとおり。どちらかというと、要介護3以上は減り、要介護1以下の軽症者が増える結果となっている。
厚生労働省は、要介護認定の変更による利用者の不安を解消し、混乱を防止する観点から、見直し後の要介護度が従来の要介護度と異なる場合は、申請者の希望に応じ、従来の要介護度とする経過措置を設けた。実施時期は検証期間中としている。